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■ ハート出版の教育書 ■


「いい子」に育ててはいけない

くだらない話ができる子ほど輝いている


富田富士也 著 2003.09.24 発行  

ISBN 4-89295-470-5 C0037 四六並製・224頁・定価 1430円(本体 1300円)

 

プロローグ

「いい子」に育ててはいけない

 唐突にかわった言い方をしますが、人間関係には“納期”があります。先生と生徒の関係には卒業という関係の“納期”があります。でも、親子関係は、いずれかにお迎え(死)がくるまでは親子でありつづけるのです。互いに逃げられない関係です。
 つまり、子どもが何歳になっても親は親でありつづけ、気になる存在として、いつも、わが子をみているです。
 逃げられない関係だから、最悪の状態でも子は親に絶対見捨てられないと信じて、やすらかに成長し、親のまえでは無防備になれるのです。
 そして、親がわが子に対して、ときに混乱して、髪振り乱してしまうのも「逃げない」と覚悟しているからです。だから、わたしは親が取り乱して子に対してしまうのも、また尊い姿と思うのです。
 品よく他人事でいられる関係なら、混乱するわけがないし、当たり障りなくいられるのです。それが親子関係だったら、子は親にいつ捨てられてしまうかと思い、心配で防衛的になってしまいます。そこで、もう一つの真実がみえてきます。
 親にとって子どもの前途が親の前途になるのです。だから親が子に「おまえのために叱っているんだよ」と言いますが、あれは本音のところ親のために叱っているのです。親は子に心配かけてほしくない、上手に育ってほしいと思います。そしてわが子に、「いい子」になってほしいと願いつつ、子育てに没頭します。
 この一途さが「いい子」をときに強迫的につくりあげ、のちに互いの関係にゆがみを起こしたりするのです。「子を想う親の思いの深さが、ときに押しの強さになる」というわけです。
 子どもは親の期待を一身に背負い、健気に育ちます。
 そして……
 ふと、親と子が立ち止まると、願いとは大きく違った現実に直面していることに気がつくことがあります。「そんなはずじゃなかった」と、親も子もあわてます。
 「長女には、よい子になってほしいという思いが強く、ついつい追いつめてしまう言葉ばかり、あびせてしまいます。そして、条件ばかりつけてしまいます。よくないこととは思うのですが、やはり期待のほうが大きく、苦しんでいる子に、はげましの言葉をかけてしまうのです。そんなふがいない母親のもとでも、一生懸命な娘の姿に、逆にわたしのほうがはげまされてしまいます」
 親子とは、じつに切なくふびんな関係なのですね。
 子どもに期待していない親など、いません。また、親からなにも期待されない子では、それもつらいものです。でも、それが過ぎると、子にも親にも重荷になってしまいます。それがわかっていながら、ついつい「これくらいなら」「わが子ならば、もうすこしがんばれる」と、荷を負わせてしまいがちです。ですから「期待しないのも愛情のひとつ」ということです。しかし、現実はそんなに冷静ではいられません。
 この本は、そんなわが子のことを他人事にしていられないで、ときに一喜一憂してしまう、そんなすてきな親たちのために書きました。
 「よい子」に育てようと願うことは、悪いことではありません。
 この本をとおして考えてほしいのは、「よい子」とは、親にとって、子どもにとって、どういう関係になりやすいのか、ということなのです。
 「どうしてこんなことで、怒ってしまうのだろう。どうしてこんな叱り方をしてしまうのだろう。どうして、もっと子どもといっしょになって『よかったね』と、よろこんであげられないんだろう。頭では理解しているのに、気持ちとからだが別々に動いてしまうことがあるのです」
 ある母親はこんなふうに、言いました。でも、子を深く思う母親、父親だからこそ、ときにこころとからだが、別々になってしまうのだと思います。それでいいのです。大切なことは、自分を振り返ること、子どもの気持ちに寄り添うことだと思います。
 子育てにやり直しはききません。
 でも、見直すチャンスはいっぱいあるのです。
 気づいたきょうから、“始めの一歩”です。
 まず、気がついたことが大切です。
 親と子は、人間関係の基本です。それも近い関係ゆえ、もっとも距離感のむずかしい関係です。「離れていれば恋しくて、近づきすぎると、うっとうしい」のが、親子関係でしょう。それだけに親子関係の“間”の取り方が、その後の対人関係のベースになるのです。いつも主従関係では人間関係は良好にはいきません。
 だからといって幼児期から「対等」な親子関係を意識しすぎると、わが子にふれることさえ怖くなります。子の“還る家”としての親のたくましい愛(親子、家族が互いに弱音を言える肯定的関わり)が必要です。それが人間関係の基本になるというわけです。
 一途になりすぎて、互いにいわゆる強迫的親子関係をつくってしまうことは寂しいです。
 本書を読みながら、そのようにしない、楽しくゆるやかな親子関係をつくってくださいね。各章の最後に「ちょっと聞いてよ、この悩み」という親子のつぶやきを紹介しておきました。わたしの講演を聴いての感想です。気づきの援助として役立ててください。

 

 

目 次

 

 

    プロローグ


1章 子どもはなぜ、「よい子」になるのか

    「いい子」の悲しみ
    寂しさを表現できない子
    正義感をもてあます子
    二歳から「いい子」になった子
    唐突な子
    よき相談相手はとなりにいる
    八方ふさがりの孤独
    無口で笑顔のない子は、いけない子か


2章 子どもの悩みを知ってますか

    親にも言えない、友だちにもうち明けられない
    はげます言葉が、追いつめる言葉に
    時間のかかる子の理由
    逆ギレへの不安
    うまく自分の気持ちを伝えられない


3章 こうすれば子どもは輝く

    「いい子」も「困った子」もおなじ
    会話しようという気持ち、ありますか
    子どもから甘えてもらえるよろこび
    不満をためさせない
    ヤル気のでる言葉、ヤル気をなくす言葉
    部分を全体にしないでほしい
    くだらない話を真剣に聞けますか
    親としてくだらない話、してますか
    親だって人間だい
    ケンカを避けるより、仲直りのすすめ
    オニババァと言われたら、「ありがとう」と答えよう
    親には悪い友だちでも、子どもにとっては大切な友だち


4章 悩むから親も子も成長する

    にらみつけるわが子
    発達の遅いわが子が心配
    いっしょに悩む
    他人まかせではなく、関わり合う
    だれが子どもを守るのか
    変な「シングル・マザー」
    だれもが現実に向かい合う
    人並みってなあに
    親だからできること
    親も子もお互いさま


    エピローグ

 

 

エピローグ

よい子よりも、「ありがとう」「ただいま」と言える子に
 A子さん(35歳)は、中学三年、小学五年と三年の三人の子をもつ母親です。長男は二十歳で出産しました。それ以降、夫の両親との同居もかさなって、「これだから、いまどきの若い親は……」と言われたくないとの思いが強くなり、「いい母親、いい妻、いい嫁」になろうと、「ガチガチにこり固まっていった」と言います。
 年齢的に言えば、A子さんは“男女雇用機会均等法”世代です。いわゆる地縁、血縁社会から一歩踏みだし、男女共同参画社会の形成期に身をおいていたのです。若くして出産し、“古風”な道を選択した彼女は、時代に乗り遅れたのではないかとの不安と、「これでも女性として幸せに生きている」という意地がどこかでぶつかりあっていたようです。
「わたしはきっと、“いまどきめずらしい、いいお嫁さん”だったと思います。学生時代の友だちと話したりするときは、時代のセンスもしっかり理解できたし、家庭では主婦としてソツがなかった思います。いい人になろうとしていたわけではありませんが、ケンカが起こらないようにしていたと思います。子どもを叱ってはいけない、夫に逆らってはいけない、姑のいうことはなんでも正しいと思わなければいけない、という考え方で暮らしていました」
 自分から問題を起こさないように努力していたA子さんに、思ってもみない知らせが入りました。中学生になった長男の担任からでした。授業中に泣き出す、突然に席を立って教室を飛び出していく。人とのコミュニケーションに奥手になっていた長男を心配することはあっても、この事態は予想外だったようです。
 「家族に心配かけまいと、とくに子育てについては、やれることは全部、ひとりでやってきたが、それは“子育ての失敗”と言われたくないために隠していただけではなかったのか。“いい人”でいるために、そのイライラをいつの間にか長男にぶつけ“いい子”を要求していたんですね」
 A子さんは「いつも」夫の顔をうかがい、ビクビクしていたが「とうとう辛抱ができなくなり、勇気を出して」長男のことを相談してみたのです。
「夫は、父親としての冷静な態度をとることができず、“迷惑”のような言い方をしました」
 A子さんは、これ以上“いい妻”でいることは、子どもたちのためにもよくないと思い、初めて夫に反発しました。夫はA子さんに暴力も振るいましたが、その日から優しくなったといいます。
 「それまでなんとなくギクシャクしていた夫婦仲がよくなり、家族らしくなってきたことに、わたしは安心しました」
 その“風通し”のよさか、ときどき家でもこわばり気味だった長男に、やわらかみが増していったのです。そして、教室での長男の行動にもきごちなさが消え、不安も忘れ去られていきました。
 「結婚して十五年たち、ケンカしても仲直りできる夫婦になりました。わたしもずいぶんたくましい母、妻になり、いい嫁もやめちゃいました」  ほんとうの自立とは、ケンカしても仲直りできる力をつけることかもしれません。そのためには「いい人」「いい子」になりすぎて、傷つくリスクを背負えない人間にならないことです。
 『「いい子」に育ててはならない』。考えてみれば、あたりまえのような気がします。
 親が“楽”をするための、「いい子」にしてはいけない、ということです。では、どんな子にすればいいのでしょうか。
 どんな子にしようとしなくても、子どもは子どもなりに自分の人生を、自分が主人公で生きていくために、いっぱい人と出会い、傷ついて、癒されて、泣いて、笑って、育っていくのかもしれません。そのあるがままの、いまそこにいる子どもを、認めてあげ、そして会話を交わすことだと思います。
 強いてどんな子かと言われれば、自分のこころに素直になって、「ありがとう」と言える子。外出するときに「行ってきます」と言える子。家に帰ってきたら、「ただいま」と言える子、ということになるでしょうか。
 そのためには、親やまわりの大人にとっての「いい子」「よい子」から、解き放されることですね。

 

 

著者紹介

 富田富士也(とみた ふじや)

1954年、静岡県御前崎市出身。教育・心理カウンセラーとしてコミュニケーション不全に悩む青少年への相談活動を通じ、絡み合いの大切さを伝えている。「引きこもり」つづける子どもや若者、その親や家族の存在にいち早く光をあて、「治療的」でないカウンセリングの学びの場を全国的に広めている。総合労働研究所所員、千葉明徳短大幼児教育科客員教授、千葉大学教育学部非常勤講師等を経て現職となる。

■現在 「子ども家庭教育フォーラム」代表
    文京学院大学生涯学習センター講師
    日本精神衛生学会理事
    日本学校メンタルヘルス学会運営委員
    日本外来精神医療学会常任理事
    NPO法人「保育ネットワーク・ミルク」顧問
    「ケアする人のケアを考える会」代表
    「心理カウンセラーをめざす研究会」代表

 

 

■主な著書
  『新・引きこもりからの旅立ち』シリーズ1
  『言ってはいけない親のひと言』シリーズ2
  『心のサインを見逃すな』シリーズ3
  『子どもが変わる父のひと言』シリーズ4
  『傷つきやすい子に言っていいこと悪いこと』シリーズ5
  『子育てに立ち往生の親子へシリーズ6
  『いい子を悩ます強迫性障害Q&A
  『「いい子」に育ててはいけない
  『子どもの悩みに寄り添うカウンセリング
  『父の弱音が「荒ぶる子」を救う
  『引きこもりと登校・就職拒否、いじめQ&A
  『子どもの心が聴こえますか?
  『子どもの心を開く聴き方、閉ざす聴き方
  『子どもたちの暗号
  『もう保育で悩まない
  『「いい家族」を願うほど子どもがダメになる理由
●講演CD
  『ぼく、心が痛いよ
  上記すべてハート出版より

 

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