心霊講座

読みやすい現代語訳

浅野 和三郎 著 黒木 昭征 現代語訳 2014.07.02 発行
ISBN 978-4-89295-980-6 C0011 A5上製 576ページ 定価 5400円(本体 5000円)



「発刊に寄せて」   心霊科学研究会 浅野 修一

心霊講座

今を遡ること九十年前、心霊研究の急務を感じた多くの各界の名士の賛同を得て、浅野和三郎が心霊科学研究会の創立大会を開いたのは、大正十二年(一九二三年)三月のことでした。そして間もなく『月刊心霊研究』が創刊され、そこには研究会創立に到る動機が記されています。

「動機は極めて単純で、つまり、信仰の異同や職業の如何には全然関係なき一つの純学術的な研究機関を組織し、諸般の霊的現象または心霊作用につきて、厳正なる批判討究を遂げたいと云うのであります」と。

この時点までの七十数年間に、世界各地で発生した心霊事実と研究のエキスを一巻にまとめたのが『心霊講座』でございまして、その初版は昭和三年六月に発行されました。

死後個性の存続、顕幽交通の可能、因果律の司配、永遠の進化向上等、人生に於ける最重要課題を論じた叢書が当時存在しなかったために、心霊研究家や多くの方々に多大の光明を与え、その後も今日まで読み継がれてきました。

さて、私は孫として祖父浅野和三郎の足跡を偲んでみたいと、本年七月にアメリカのボストンを訪問しました。昭和三年十一月、祖父がクランドン博士邸に於いて、世紀の大実験、即ちマージャリーによる幽霊の指紋作製現象、三大霊媒による対照通信、直接談話現象等を行い、死後個性の存続を確信するに到った地です。(この件については本文を参照してください)

往時のまま残る、クランドン博士邸のあったビーコンヒルや、博士の案内で巡ったというハーバード大学や旧市街等を、八十五年の時を経て歩く私の心中には、とても感慨深いものがありました。

時を同じくして、『小桜姫と新樹の物語』の現代語訳で定評のある黒木昭征氏が『心霊講座』の現代語訳に取り組まれました。そして、その中には付録として「日本の心霊事情」と「長南年惠物語」が追加編集されましたので、より完全本に近くなりました。> また、現代語訳とは云え、できるだけ原文に近い形で、しかも難読な文字にはルビが振られましたので、大変読みやすくなりました。私は、本書が若い世代を含めた、広い年代の方々に永く読み継がれることを願っています。

欧米の先達の心霊研究の帰結として、スピリチュアリズムが提唱されました。それに対して浅野和三郎は、西洋のスピリチュアリズムは我が国に於いては日本神霊主義であるとし、晩年はその唱道と実践に全精力を注ぎました。これは日本人に分かりやすいように、日本の思想を活用して、「敬神崇祖」、「大家族主義」のテーマのもと、神を尊び、祖先を尊び、家族のように人を愛するというものです。

これが科学的事実の論理的な帰結であり、大自然の法則そのものです。地上人類の指導原理として、これ以外またこれ以上のものは到底見出されないと結論付けています。このあたりは浅野和三郎著『心霊研究とその帰趨』に詳述されております。
読者の皆様には、更に研鑽を積まれ、より良い人生を送られますようにと私は願ってやみません。




最近までの七、八十年間に、東洋と西洋にまたがって続出した無数の心霊事実の中から、いちばん正確味に富み、またいちばん有意義と思われるものを選出して適宜に分類し、そしてできるだけ公平な態度で、それらの活きた事実が何事を我々に教えるかを、突っ込んで探求してみたいというのが、私の本書を執筆した目的なのです。

私としては、これでも十数年来取り扱ってきた問題ですから、最初は多少の自信を以って仕事にかかりましたが、いざ筆を執ってみると案外私の平生の準備が不足であったことが分かりまして、新たに参考資料を集めたり、新たに調査のやり直しをしたり、遂にまるまる二年間をこの仕事に捧げてしまいました。

私が本書の最後の一ページを書き上げたのは本年の一月でしたが、その時は「やれやれ重荷を降ろした」という気がしました。

むろん欲を言ったら際限のない話で、私が本講座に付け加えたいと思う材料はまだ他にたくさんあります。しかし現在の日本国として何より痛切に必要を感じるのは、心霊問題に関する基礎的な知識の普及で、それにはできるだけ簡単明瞭に要領が得られる参考書が望ましいのは言うまでもありません。そうした考慮の結果出来上がったのが本書でありまして、私としては現在の境遇に於いての最善を尽くしたつもりであります。

こんなつまらぬ著述でも、万に一つでも、日本国の思想界、言論界、宗教界等の間に横たわる大きな弊風、つまり、活きた心霊事実と心霊上の正しい理論とを無理やりに握りつぶして、一つの精神的な鎖国主義を樹立しようとする唾棄すべき無益の努力を、幾分かでも排除するのに力となれたらこんな嬉しいことはありません。

私は、本年九月にイギリスのロンドンで開かれる「世界神霊大会」に臨むべく、目下その準備に忙殺されておりますが、こうした際にたまたま本書が世に出ることになったのは甚だ意義深いことと感じます。

敢えて置き土産という訳ではないが、私としては、謹んでこの一小著を敬愛なる我が同胞諸氏に捧げたいと思うものであります。

昭和三年五月十七日 鶴見にて
著者しるす




目次

発刊に寄せて 心霊科学研究会 浅野 修一
まえがきに代えて 黒木 昭征
浅野和三郎先生の経歴 黒木 昭征

序 浅野和三郎

第一講 肉体と霊魂
序説
1 霊魂問題の科学的な考察
2 催眠術と思想伝達能力
3 催眠術と記憶能力
4 催眠術と暗示説
5 生理解剖学と霊魂説
付録 人体は幽霊の宿

第二講 新霊魂説の台頭
1 新霊魂説の内容
2 フォックス姉妹の事件
3 英国初期の大霊媒ホーム
4 学者霊媒モーゼス
5 英国心霊研究協会の創立

物質化したケーティ・キングの霊とクルックス博士 第三講 物質化現象の検討
1 死後の世界の有無
2 物質化現象とは何か?
3 クック嬢とその現象(上)
4 クック嬢とその現象(下)
5 ジョンソンとデスペランス夫人
6 リシエ教授と二人の霊媒
7 物質化現象の裏面の意義
付録 現代稀有の大霊媒クルスキー

第四講 心霊写真の検討
1 心霊研究と写真術
2 初期の写真霊媒
3 『クリュー団』の心霊写真(上)
4 『クリュー団』の心霊写真(下)
5 心霊写真の複雑な内容

第五講 直接談話現象の検討
1 最も劇的な心霊現象
2 リード夫人と文豪ステッド
3 リード夫人と多くの実験
4 バリアンテインと文士のブラッドレー
5 英国に於けるバリアンテイン
6 直接談話現象の種々相

第六講 テーブル浮揚現象の検討
1 今までに何を学んだか
2 クローフォード博士とゴライヤー嬢
3 クローフォード博士の実験と理論
4 ユーサピアの人物と実験
5 ユーサピアのテーブル浮揚現象その他
6 二人の霊媒の比較

第七講 物品引き寄せとその他の物理的現象の検討
1 ベーレーの物品引き寄せ現象
2 ガッピー夫人の肉体引き寄せ
3 物品引き寄せの理論
4 その他の物理的現象

第八講 霊視現象の検討
1 神通現象の種類と性質
2 霊視能力の実験と体験
3 霊視の実例
4 水晶画像現象
5 精神測定現象
6 遍歴的霊視現象
7 霊視現象の内面装置

第九講 霊言現象の検討
1 霊言現象の性質
2 霊言現象の最初の体験
3 コナント夫人とその他の入神講演
4 パイパー夫人の霊言能力
5 霊言の名霊媒レオナルド夫人
6 ブラッドレー氏の実験記事
7 ノースクリッフ来たる

第十講 自動書記現象の検討
1 自動書記の種類と内容
2 ステイントン・モーゼスの自動書記
3 『スピリット・ティチングス』の一節
4 トラバース・スミス夫人
5 ヨハネスの霊界通信
6 ステッドその他の自動書記
7 その他の自動書記霊媒
8 自動書記の内面装置

結論
1 心霊研究から何を学んだか
2 心霊研究が及ぼす影響

付録一 欧米心霊界の現状
1 霊界との交通
2 心霊現象の種類
3 ホープ氏の心霊写真
4 ルーイス氏の物理的現象
5 日本語の直接談話現象
6 幽霊の指紋
7 日本語の心霊放送
8 神霊主義の台頭
9 実用向きの北米心霊家
10 日本の将来

付録二 日本の心霊現象
1 日本最初の物理的霊媒 亀井三郎
2 大毎社の物品浮揚実験
3 浅野家表札物品移動事件
4 北村霊媒紙こよりで一銭銅貨貫通現象

付録三 長南年惠物語
[一]長南年惠物語
はしがき
一 奇跡の発端
二 湯冷ましを飲んで吐血
三 竹にリス
四 鶴岡監獄支署の事実証明
五 年惠さんの大阪入り
六 霊水たちまちビンの中に湧く
七 法廷における霊水湧出
八 大阪毎日新聞の記事
九 その晩年と逸話

[二]長南年惠物語補遺編
(上)原氏の報告
(下)高野氏の報告

『心霊講座』発刊の頃の想い出 秋山 美智子(旧姓浅野)
あとがきに代えて 現代語訳編 黒木 昭征


心霊講座


長南年惠物語





 

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