スリリングな鬱

わたしは転んだ!

道草 薫 著  2015.10.15 発行
ISBN 978-4-8024-0004-6 C0095 四六並製 256ページ 定価 1650円(本体 1500円)

「本文」より

スリリングな鬱―わたしは転んだ!

私は子供の頃から風邪すらひいたことがないほど健康だった。
病院にも健康診断以外でお世話になることもなかった。
眠れなくなるまでは・・・。
そのときだって、不規則な生活が原因で大したことないと思い込んでいた。
まさか自分が鬱病で入院することになるとは考えたこともなかった。

でも生きることのほうが死ぬことよりもよっぽど辛いことのようにしか思えない。
死を選べば一瞬でことが済む。
この先何年かかるか分からない病気と闘い、その後は生きるために戦っていかなければならない。
“生き地獄”という言葉に行き着いた。これ以上ぴったりの言葉はないと思った。死にたいと心の底から思った。
もう病気を治してとか、そんなことはどうでもよくなった。本気で死にたいのに何かが邪魔をしている。
その正体がただの恐怖なのか、理性のかけらなのか。
いくら考えても答えは見つからなかった。



目次


第1章 忍び寄ってきていた鬱
    眠れないよ〜!
    ――初めての心療内科
    おかしなことになってきたぞ!
    ――著名な先生のところに転院
    本も出してる院長先生
    ――万年筆でカルテ書く
    女医に怒られた
    ――それは歳のせいでしょ!
    スッゲー、おくすり大増量
    ――お薬110番さんのお世話になって
    見放された〜!
    ――薬では治療は不可能です宣言

第2章 生活保護
    こんなになる前に相談を!
    ――会社員してるなら相談すべし
    生活保護のススメ
    ――無理なものは無理! 諦めも肝心
    朦朧としたまま手続き終了
    ――生活保護受理

第3章 電気ショック
    チューブに繋がれ、心も繋がる
    ――10人部屋の全員が点滴を打っている
    かっこいいショックっ!
    ――手術室は宇宙のドック空間
    なんでもできそな絶好調から奈落の底へ
    ――2ヶ月に一度の定期的電気ショック療法
    繰り返すの何回め?
    ――入退院生活の始まり
    電気ショックにすら見放され…
    ――効果なしで再び薬物療法へ
    薬大魔王
    ――鬱に効くという薬はほぼ全て試したけれど…

第4章 精神科病院入院
    偶然の電話と変化の一歩
    ――必然か? ゆらぐ気持ち
    ついに本物の精神科病院へ
    ――またもや転院、最後の病院(のつもり…)
    任意入院手続き
    ――期待と不安と違和感と
    開放病棟で泣き続ける日々を経て
    ――塗り絵とお散歩、頓服飲んで

第5章 死への誘惑
    退院したら元の木阿弥
    ――もう入院はしないと誓ったはずが…
    取り憑かれた電話
    ――深夜の電話相談
    深夜3時は大忙し
    ――電話相談は早朝が狙い目?
    半狂乱で泣きながら
    ――朝方まで4時間付き合ってくれたカウンセラー
    宗教嫌いも助けてくれる
    ――ありがたいクリスチャン
    電話もいいけど手紙もね!
    ――お坊さんとの往復書簡
    拒食の日々
    ――階段も上れなくなるほど衰弱し…

第6章 忘れゆく日々
    退院した日から廃退の日々
    ――何もできない、寝たきり状態
    元に戻るわけないじゃーん!
    ――諦めはついた、あとは変わるだけ
    鬱病患者だって楽天主義者なのだ
    ――ラクになりたい! だっていろいろ
    急がない死
    ――生まれた時から確実に死に近づいているのだから

    あとがき



「あとがき」より


まだ完治には至っていませんが、私自身はこのあいだに大きく変化しました。
体調の波はありますが、家で仕事をしたりもしています。
いまは、1日も早い社会復帰を目指して、何にでも挑戦していきたいと思っています。
この本も挑戦の第一歩だと思っています。
この本に目を通してくださった全ての方に、こころから感謝申し上げます。ありがとうございました。


 

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