戦争犯罪国はアメリカだった!

英国人ジャーナリストが明かす東京裁判70年の虚妄

ヘンリー・S・ストークス 著 藤田 裕行 訳 2016.04.29 発行
ISBN 978-4-8024-0016-9 C0021 四六並製 272ページ 定価 1760円(本体 1600円)


今年は、市ヶ谷で極東国際軍事法廷、
いわゆる東京裁判が行われてから70年の節目に当たる。

私は日本国民が、東京裁判の虚妄に目覚め、
史実と正義の声を上げてくれることに、期待している。
日本人が、そう思わないことには、
日本の名誉が回復されることは無い。

           ― ヘンリー・スコット・ストークス


序章 東京裁判こそ戦争犯罪だった

戦争犯罪国はアメリカだった!

私は市ヶ谷防衛省内にあるかつて東京裁判が行われた講堂を、何度も訪れたことがある。
戦勝国が一方的に敗戦国を裁くことは許されない。戦勝国が敗戦国を裁いて、戦争犯罪人として一方の将兵のみを処刑するのは復讐だ。
昭和二十年八月十五日は、停戦の日だ。それから九月二日に降伏文書の調印式が、戦艦ミズーリ号の艦上で行われ、日本の占領が始まった。
占領期間は、戦争中である。日本は、主権を持っていなかった。
その中で、戦時捕虜にあたる東條英機をはじめとするいわゆる「A級戦犯」を、不当な裁判にかけ、絞首刑で殺した。これはリンチであり、捕虜殺害というれっきとした戦時国際法違反である。処刑それ自体が戦争犯罪だった。
東京裁判を覆った空気について、多くの関係者から聞いたことがある。法廷の空気はとても邪悪で、毒気が漂っていた。残忍さが渦巻き、検察側には、悪意が感じられた。このため法廷には、恐ろしい気配が充満していた。東京裁判は、数年に及んだ。その全てが不法だった。

私が五○年余を過ごした日本外国特派員協会の斜め向かいに、第一生命ビルがある。マッカーサーは皇居を見下ろすこの建物に、総司令部を構えた。マッカーサーは全てを、まるでドラマの場面のように演じた。自尊心の自家中毒によって、病んでいた人間だった。この総司令部もマッカーサーの演出に一役買っていた。
ドイツのニュルンベルグ裁判はイギリスが主導した。そのために、アメリカには出番がなかった。マッカーサーは、日本人への復讐や、アジアへの見せしめに加えて、世界へアメリカの正義を発信しようと東京裁判という芝居を上演したのだ。
日本外国特派員協会は、マッカーサーの日本占領と同時に設立された。理由は、アメリカによる日本占領が、いかに正しく、人道的であり、歴史の偉業であるか、全世界へ報道させるためだった。日本外国特派員協会の会旗にも、「一九四五年設立」と占領の年が、誇らしげに刻まれている。
いわば日本占領の、もっといえば、東京裁判史観を世界中に撒き散らした総本山が、日本外国特派員協会と言ってもいい。マッカーサーは、メディアの力をいっぱいに活用して、自らのエゴを美しく飾り立てた。
連合国占領軍総司令部という公的な組織のような名称を冠しているが、GHQはマッカーサー一人のものだった。マッカーサーの意志が全てだった。だからそこには、マッカーサーのエゴが、見てくれの演出を好む、映画プロデューサーのような、ナルシストの性格が露わに映し出されていた。
もう十年近く、私は黒船来航で知られるマシュー・ペリーについて研究してきた。その過程でGHQのマッカーサーについても比較対象のために調査を重ねた。その研究の一部は、外交評論家の加瀬英明氏との共著『なぜアメリカは対日戦争を仕掛けたのか』(祥伝社新書)で紹介しているので、そちらも合わせて読んでいただきたいが、ペリーもマッカーサーも、自己中心的で、自己顕示欲が過剰な、自分のパフォーマンスを何よりも最優先して考える人間だった。
日本の占領政策も、東京裁判も、マッカーサーの内面が、具体的な日本占領になって露出した姿そのものだ。その傲慢さと不実は、唾棄すべきものがある。
マッカーサーは、日本の「将軍」を気取っていた。しかも実際の将軍と異なり、その権限はまさに「全能」で、神のようであった。神の御技の地上代行者と過信して、天皇も含めて、全ての被造物をまるで創造主であるかのように、国際法も一切遵守することもなく占領政策を策定し、推進した。
自ら全世界に向けて、アメリカの正義がどのようなものかを、発信しようとした。未開の人々に、文明とはどのようなものか、正義とはどのようなものか、全てのことはどのように解釈され、判断されるべきなのか、その基準をパフォーマンスとして、演出した。
おぞましい矛盾だ。正義を貫くというパフォーマンスに、正義の欠片もなかった。結果的に、まったく正義と公正を欠いたものとなった。文明も、正義も、公正も全て、アメリカが美徳と誇り掲げるものが、日本の占領には存在しなかった。
東京裁判は、アメリカが代表する文明や、正義、公正という美徳を信じた日本人の多くを失望させ、アメリカへの不信を深めさせた。
占領中にアメリカがしたことは悪だった。おぞましい復讐であり、リンチであった。完璧な欺瞞、ナンセンスだけがそこに残された。
マッカーサーは、白人の優越を示そうと意図した。古くはプラトンやソクラテスの活躍したギリシャ文明にまで遡る西洋の文化や文明、伝統と理想の優越を、小さな黄色い種族による未開で、野蛮な社会に見せつけようと試みた。文明の正義とはどのようなものか、思い知らせてやろうと思った。白人の西洋世界における規範とはどのようなものかを、法の支配とはどのようなものかを、未開な民族に教え込もうとした。
日本国民全員が、東京裁判の被告だった。その文明の崇高なる叡智を、ただただ素直に、無批判に受け入れれば良かったのだ。これが、マッカーサーの傲慢で、高飛車な姿勢だった。
今日、日本の大新聞、文部科学省、文化人をはじめ多くの日本国民が、東京裁判史観を信じている。今日の日本は、いまだにマッカーサーの呪縛の渦中にある。
裁かれるべきは、戦勝国側だった。そして公正という、アメリカが高らかに掲げてきた美徳を、規範を、原則を葬り去って、裁判という名に値しない茶番劇を続けた。フェア・プレーの精神を地に貶めて、欺瞞を貫いた。それが東京裁判だった。
西洋文明が為したことは、結果的に非文明の所作であり、正義の基準は、全く実践されなかった。悲しいことであり、また邪悪なことでもあった。
ウェッブ裁判長は、オーストラリアへ戻って退居した後に、「あの裁判は、誤っていた」と、語っている。
今年は、市ヶ谷で極東国際軍事法廷が行われてから七十年の節目の年にあたる。
私は、日本国民が、東京裁判の虚妄に目覚め、史実と正義の声を上げてくれることに、期待している。日本人が、そう思わないことには、日本の名誉が回復されることはない。

二〇一六年三月
ヘンリー・スコット=ストークス


本書の紹介動画です



目次


序章 東京裁判こそ戦争犯罪だった

第一章 極東国際軍事裁判研究プロジェクト
講演『東京裁判の虚妄とジャーナリズム』

第二章 三島由紀夫の『市ヶ谷事件』
なぜ三島由紀夫はあのような事件を起こしたのか?
事件当日

第三章 アメリカによる洗脳
なぜか戦勝国の正義をプロパガンダする日本
洗脳されたことに気づかない日本のメディアと国民
「A級戦犯」という表記は誤りである
「A級戦犯」が祀られる靖国神社を参拝してはいけない?
民意に反して、軍部が戦争に国民を引きずりこんだ?
日本は、侵略戦争を起こし、アジアの人々と戦った?
日本軍は、アジア諸地域、太平洋戦域で多くの民間人を犠牲にした?
日本軍は、沖縄の人々を見捨て、犠牲にした?
東京大空襲や広島・長崎への原爆投下は、日本が過ちを犯したから?
WGIPの洗脳を解くには

第四章 イエズス会の独善的な日本布教
神がモーゼに与えた神託
狂信的な布教をしないクリスチャン
アメリカのテレビ福音伝道師
イエズス会は、権力を利用して布教した
権力者に媚びるキリスト教宣教師たち
フロイスの『日本史』で読むイエズス会の姿
秀吉の庇護を受けるイエズス会
北政所まで利用するイエズス会
イエズス会の独善的布教に激昂した秀吉
人身売買をしていたキリスト教徒たち
天正少年使節団による悲しい報告

第五章 白人キリスト教徒による世界侵略と有色人大虐殺
共栄をめざした日本の海外進出
農耕民族的な日本人と狩猟民族的な白人キリスト教徒
異教徒は、殲滅する教え
キリスト教十字軍の誇り
ポルトガルとスペインによる世界侵略
マゼランは、なぜ殺されたのか
「黒い伝説」と呼ばれるもの
帝国を築く礎となった海賊たち
清教徒の「マニフェスト・デスティニー」
鎖国はキリスト教徒の横暴を阻止するためだった

第六章 「レイプ・オブ・江戸」と明治維新
「黒船」来襲が象徴した侵略と虐殺
三島が黒船を嫌悪した理由
平和な日本に突如として現れた「外夷」
黒船来航に動揺する幕府と朝廷
日本に迫る大国ロシアの脅威
激震する安政の日本
孝明天皇の「攘夷」の意志

第七章 白人支配の世界で独立主権を貫いた日本
白人列強の軍事的脅威
『錦の御旗』の権威
熊本に「神風連」を訪ねる
白人支配の世界で有色人種が独立を保つには
白人に唯一対抗できた日本
日本に迫る白人列強の脅威
天津条約と朝鮮半島の情勢
日清戦争と甲午改革
北の脅威、大陸の情勢
三国干渉という白人列強の侵略行為

第八章 民族平等の世界を目指した大東亜共栄圏
徳富蘇峰を叩きのめした三国干渉
大東亜会議は、世界初の『有色人サミット』だった
『大東亜戦争』という呼称を蘇らせよう
『大東亜会議』七十周年での私の演説
『レイス・ウォー』の驚愕の内容
日本はアジア諸国と戦争をしていない

第九章 連合国によって「創られた」裁判
東京裁判を受け入れた?
「違法裁判は無効」という当たり前のことが無視されている
裁判を勝手に開いても、無効だ!
検察官は、裁判官を務められない
法理に従う法廷ではなく行政処分をする役所だった
明確な『管轄権』がなかった東京裁判
『事後法』によって戦争犯罪人を作り出した
捕虜の不当な処刑は、国際法違反の戦争犯罪
『勝者の裁き』を明白にしたベンブルース・ブレイクニー少佐
ジョージ・ファーネスの思い出
文明に逆行する東京裁判を日本は絶対に認めてはならない
いまだに占領の呪縛の下にある日本

第十章 東京裁判七〇年の虚妄を打ち破れ!
世界が認めていない東京裁判
英文「判決」は、七月にできあがっていた
「少数意見」は、黙殺された
『判決の日』──昭和二十三年十一月十二日
死刑判決は、どのように決まったか
「出来レース」の裁判
戦争責任を個人に帰した「死刑」判決
パール判事の『日本無罪』論を検証する

第十一章 大東亜戦争の真実
大虐殺をしてきたのは白人キリスト教徒の『列強』だった
満洲事変は、日本の侵略戦争ではない!
支那事変は、日本の侵略戦争ではない!
盧溝橋事件は、共産党が仕掛けた
『南京大虐殺』は通州での邦人大虐殺のカモフラージュ
大東亜戦争は日本にとっては自衛戦争だった

最終章 三島由紀夫はなぜ「市ヶ谷」で自決したのか!?
日本軍の侵攻を歓喜して迎えたアジアの植民地の人々
日本軍は、高貴な軍隊だった
語られないアメリカ軍の残虐行為
東京大空襲と『赤い吹雪』
アメリカ人には理解できなかった日本の徹底抗戦
『キャリー・オン』
東京裁判と原爆投下の正義
なぜ「国際法違反」の東京裁判を実行できたのか?
三島が「市ヶ谷」で表現したかったこと
三島由紀夫を動かした『英霊の声』
三島が「市ヶ谷」を選んだ理由

おわりに


本書の紹介動画です


おわりに


この本をまとめさせたのは、三島由紀夫だった。いや、三島がこの本を、私に書かせた。
あの夜、三島は私に詰問した。伊豆の下田で三島と晩餐を楽しんだ後のことだった。
三島は、なぜ、黒船を忌み嫌ったのか。あの日から、その問いは私の心の中で、響いていた。
三島が市ヶ谷で自決した。そのことを本に書こうとした時に、私は不思議な体験をした。まるで、私と別な何者かが、私に代わって本を書いているかのような体験だった。
十年近く前から、私は「黒船」をテーマに本を書こうと試みてきた。しかし、外国特派員協会の一室で原稿を書いていると、そこに三島が現れ、いろいろと訴えてくる。そのためというわけではないが、まだ「黒船」は、完成していない。
しかし本書は、その一○年がかりの「黒船」の探求の、ひとつの全体像を期せずして描く作業となった。
三島は、自衛隊の市ヶ谷駐屯地で自決した。憲法改正を訴え、自衛隊をアメリカの「傭兵」でなく名誉ある天皇の軍隊とすることを、命と引き換えに訴えた。そこは、東京裁判が行われた場所でもあった。それは、偶然だったのか。
三島は、稀代の小説家だった。自分の自決すら一編の小説のように、手の込んだシナリオを描いた。三島はあえて市ヶ谷を、東京裁判の法廷の場所を、「散華」の地に選んだのだった。占領の呪縛を解かんと「自爆攻撃」した。三島が守ろうとしたのは、日本の「国体」だった。「三種の神器」だった。「建軍の本義」だった。君民一体・天皇国の日本だった。
ここ数年、私は多くの著書を出版した。一○万部を超えるベストセラーとなった『英国人記者が見た連合国戦勝史観の虚妄』など一連の著作の背後に、私は三島からの霊言があったと思う。
いまも、三島由紀夫は生きている。まるで小説のような「市ヶ谷事件」を起こして自決したが、その魂はいまも息づいて、二十一世紀の日本に留まっている。その思いを受け止めて、私は本書をまとめた。これは、下田の夜の三島の「黒船」に対する思いを、半世紀近くの時を経て、私なりに感じ取った集大成と言ってもいい。
日本は、大東亜戦争の開戦まで、ずっと平和を望んできた。その日本に脅威を与えたのが、白人キリスト教徒の侵略だった。『マニフェスト・デスティニー(明白なる使命)』を掲げ、有色人種を大虐殺してきた。その脅威を現実に目にした時に、日本は鎖国政策をとった。国防のためだった。日清戦争、日露戦争、満洲事変、支那事変も全て、日本の権益や居留民、また日本そのものを守るためだった。大東亜戦争も同様だった。仕掛けたのはアメリカ。日本は追い詰められて、自衛のために戦争をするしか方途がなかった。「座して死を待つ」ことはできなかったのだ。
日本が大東亜戦争でアジア諸国に侵攻すると、アジアの民は歓喜して喜んだ。数百年にわたって欧米列強の軍隊に虐殺され、植民地支配されてきた。その白魔を駆逐したのが皇軍だった。アジア諸民族は、皇軍に協力して、民族自決、独立のために戦った。
日本軍が残虐行為を行ったとか、大虐殺をしたとか、婦女子を凌辱したなど、でたらめである。皇軍は、天皇の名誉を犯すことがないように、国際法を遵守して戦った。国際法をまったく無視して大虐殺を実行したのは、アメリカだ。戦争犯罪を問題にするなら、犯罪国家はアメリカであって日本ではない。
アメリカでの戦闘に於ける国際法違反をさらにドラマチックな芝居にしたのが、東京裁判だった。東京裁判が不当なものだったことは、東京裁判の判事も、当時のアメリカの政治、軍事の指導者から世界の知識人までが認めている。東京裁判そのものが、国際法違反の復讐でしかなかった。
しかし、占領軍がWGIP(ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム)によって、日本が戦争犯罪国家であると、日本人を洗脳した。さらに、メディアに一切の批判をさせないように、戦前よりはるかに厳しい言論統制を行った。こうした占領政策によって、日本のメディアも国民も、まるで日本が戦争犯罪をしたかのように、思い込まされている。
真実は真逆だ。世界を侵略してきたのは欧米列強で、世界中で大虐殺を実行してきた。いわば、「最後の砦」として残されていたのが日本だった。日本が自衛戦を行ったのは、国際法に照らしてもまったく正当な行為である。

戦後七十年を過ぎた。今年は、東京裁判開廷から七十年目の節目の年を迎える。
日本の最大の問題は、日本人がアメリカによる洗脳を自覚することができないことだ。「日本は戦争犯罪をした」とか、「侵略戦争を起こした犯罪国家だ」などというまったくの虚偽を、真実であると思い込んでいることだ。
日本人は、この無明から覚醒せねばならない。日本人は立派な民族である。日本は、戦争犯罪国家などではない。その誇りを取り戻し、いわれなき日本人の父祖に対する名誉毀損を打破することだ。
三島由紀夫は、そのことを魂から訴えようとして、東京裁判が行われたその場所で、自決をしたのだ。いま私は、そのことを三島からの霊言によって、まざまざと知ることになった。
本書は、そのことを日本国民に訴えるために、まとめたものである。日本が主権を回復したとされる四月二十八日と、昭和の日にあたり東京裁判の起訴状が手交された日でもある四月二十九日を前に、本書が出版される意義を読者と共にかみしめたい。

ヘンリー・スコット=ストークス


 

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