南極犬物語 新装版

綾野 まさる 作 くまおり 純  画 2020.12.15 発行
ISBN 978-4-8024-0109-8 C8293 A5並製 152ページ 定価 1320円(本体 1200円)
小学校中学年以上向き

内容紹介

南極犬物語

20世紀(1900年代)のはじめ、氷山のうかぶ、地球のいちばん南にある南極は、探検の舞台でした。

人類が足を踏み入れたことのないこの南極に、アムンゼン、スコット、そして日本の白瀬矗といった人たちが、きびしい自然とたたかいながら、探検を試みました。その後、世界の国々が力をあわせて、南極の秘密を調べようという動きがおこり、日本も南極観測の仕事に参加しました。

このとき、重い荷物などを運ぶために、ソリを引いて南極の氷原を走り、活躍したのがカラフト犬たちでした。
犬たちは、観測隊の人たちにかわいがられ、雪あらしがふきあれる氷の大地で、足のうらから血をしたたらせながら、ソリを引いて、いっしょうけんめいに働きました。きびしい自然のなかで、人間と犬は、ひとつになって、心をかよわせたのです。
そして、犬たちの助けがなければ、この南極観測の仕事は、なしえなかったといっていいでしょう。

ところが、この15頭の犬たちは、南極におきざりにされました。それも、クサリにつながれたまま……。

これにはいろいろな事情があったのですが、結局、生きたまま、犬たちを見捨てることになってしまったのです。

そのとき、日本中の人が驚き、悲しみ、そして、いきどおりの気持ちで胸をえぐられました。マイナス40度ちかくにもなる寒さ、食べものもない南極では、15頭の犬たちは、すぐにも死んでしまうと思ったからです。

それから1年――、なんと、奇跡はおきたのです。


※この作品は2011年9月当社より刊行された『ハンカチぶんこ南極犬物語』をリサイズ編集したものです。




目次

三匹の子犬

一万四千キロの旅 

氷山が見えてきた 

十九頭の勇者たち

死ぬな、ベック

まっ赤な足あと

SOS! こちら宗谷

さよならの名札

ゆるしてくれ、犬たちよ

二つの黒い点

助けあった兄弟

おわりに



南極犬ゾリ隊紹介


〔リキ〕…6才。35.5kg。毛は灰色。頭のいい犬で、犬ゾリの先導犬をつとめ、ボス的な風格があった。
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〔テツ〕…6才。31.5kg。毛は灰色。カラフト犬らしくなく、寒がり屋さんだった。

〔アカ〕…5才。32.5kg。毛は灰色。ほかの犬たちより足が短かかったが、けんかが好きで、よくしかられた。
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〔デリー〕…5才。30.5kg。毛は灰色。シェパードの血がまじり、わんぱくで、オオカミのような体つきをしていた。

〔風連のクマ〕…4才。33kg。毛は黒色。けんか好きで、よく血を流していたが、ソリ引きでは活やくした。
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〔比布のクマ〕…4才半。38kg。毛は黒色。顔つきが勇ましく、誇り高かったが、人間ぎらいでなかなかなつかなかった。

〔紋別のクマ〕…3才。33kg。毛は黒色。体力があり、ほかの犬がつかれると、先導犬をつとめてよく働いた。
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〔ジャック〕…3才。34kg。毛は白と黒のぶち。おとなしい性格で、まじめによくソリを引いた。

〔ポチ〕…2才半。35.5kg。毛は茶色。仲間のなかでいちばんよく食べて、くび輪ぬけの名人(!?)だった。
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〔ゴロ〕…2才。43.5kg。毛は黒色。仲間のなかでいちばん体が大きく、力は強かった。でも性格はおとなしい。

〔アンコ〕…2才。34.5kg。毛は茶色。金色の目をしていて、とっても甘えんぼうで、だれからもかわいがられた。
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〔クロ〕…3才半。36.5kg。毛は黒色。“オクゲのクロ”と呼ばれ、力は強くなかったが、いつもがんばってソリを引いた。

〔深川のモク〕…2才。36.5kg。毛は黒色。いちばん毛がふさふさした犬で、隊員の命令をよくきいた。
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〔シロ〕…2才。31kg。毛は白色。おとなしく、先導犬として活やくし、立派な働きをした。

〔ぺス〕…4才。38.5kg。毛は茶色。おとなしすぎてあまり目立たなかったが、まじめにソリを引いた。
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〔ベック〕…3才半。38kg。毛は茶色。頭がよく副先導犬をつとめたが、越冬中に体をこわし元気がなくなった。

〔タロ〕…1才。33.5kg。毛は黒色。性格はもさっとしているが、よく働く若者となった。
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〔ジロ〕…1才。33.5kg。毛は黒茶色。苦労知らずの甘えっ子で、すこし落ちつきのない性格だった。

〔シロ子〕…1才。体重は不明。毛は白色。仲間たちのなかで、ただ一頭のメス。越冬中に、八匹の子犬を産んだ。
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〔南極のタロとジロ〕