保護犬の星 フリスビー犬ハカセ

西松 宏 作 2022.03.30 発行
ISBN 978-4-89295-0121-0 C8093 A5上製 136ページ 定価 1540円(本体 1400円)

「おわりに」より抜粋

保護犬の星 フリスビー犬ハカセ

僕がハカセと浦さんに初めて会ったのは2 0 2 0年夏の終わりころでした。アニマルライブのドッグランで、浦さんが投げたフリスビーを、ハカセは数十メートル先で見事にキャッチ。それを楽しそうに何度も繰り返す光景を最初に見たときの驚きは今でも忘れられません。浦さんとハカセの息は実にぴったりと合っていて、こんなすごいことができるようになるまでに一体どんなことがあったのだろう、と思ったのを覚えています。

以来、ハカセと浦さんが出場するほとんどの大会に同行させてもらいました。浦さんの投げたフリスビーを一心に追いかけるハカセはあまりにスピードが速いので、カメラのフォーカスが追いつかないこともしばしば(笑)。

そして、いつも嬉しそうにコート内を駆け回るハカセの姿をファインダー越しに見るたびに、よく感じたことがありました。それは、もし博子さんや岩﨑さんたちが殺処分されそうになっていたところを助け出さなければ、ハカセのこの勇姿、命の躍動は、この世に存在していなかったんだということ。今ここにいて、こうして生きているということが、どれほど貴重で、奇跡なのかと。

本文最後の2 0 2 1年1月に出場した大会以降も、ハカセと浦さんは定期的に日本フリスビードッグ協会主催の九州大会に出場し続けています。現在、ハカセと浦さんがエントリーしている「ユースオープン」クラスは、強敵が数多く出場するため、ハカセは毎回、最下位あたりに甘んじていますが、浦さんは、結果よりもいかにその日、フリスビーをハカセと一緒に楽しめたかを大事にしながら、挑戦を続けています。北島さんから教わった「Let's enjoy!」の精神です。

目標を掲げ、何かに挑戦するとき、もちろん結果は大切です。でも、そればかりにとらわれて、やっていることが本当に楽しいと感じられなくなっているとしたら…。
フリスビーをしているときのハカセは純粋な喜びに満ち溢れています。ハカセは身をもって「人生(犬生)は楽しむためにあるんだ」と、僕たちに教えてくれているような気がしてなりません。


※この本の印税の一部は、「特定非営利活動法人アニマルライブ」に寄付され、保護犬猫活動のために役立てられます。



目次

プロローグ

救われた命

秘められた才能

Column ーハカセと「アニマルライブ」のことー

フリスビードッグをめざして

初出場

ハカセといつまでも

Column ー24H対応の動物病院を目指してー

おわりに