犬本・読書感想文 優秀賞

盲導犬の必要性

高井 彩乃 (栃木県小山市 14才)


 「盲導犬ベルナ」に出会う以前に「ベルナのしっぽ」と出会いました。当時、小学六年生だった私は、何度も繰り返し読み、おかしいくらいに涙を流しました。それまで、盲導犬に関する知識はほとんどなかったのですが、多くの本で勉強することにより、盲導犬の必要性を実感しました。
 盲導犬は目の不自由な人にとって、大切なパートナーであると同時に、目そのものです。盲導犬が年をとれば、行動に支障が出て、ユーザーさんを安全に誘導することができなくなります。リタイア犬として、新しい家族に引き取られて、家庭犬として、人生を送らせてあげればいいのは分かっています。けれど、十三年も一緒に暮らしてきたベルナがいない暮らしなんて、ななえさんには考えられなかったのです。リタイアの時期は、ななえさんだけではなく、盲導犬を持つ人なら誰でもが悩むことです。
 私の知り合いに、盲導犬を持つ人がいます。今は二代目の盲導犬と暮らしていますが、一代目は、十六才まで現役で働いていました。ゆっくりした盲導犬の歩調に合わせながら、「今は、私が合わせているのよ」と笑っていました。また「リタイヤさせるのがいいかもしれないわね」とも言っていました。深い絆を感じた私は、盲導犬はできるだけ長く、ユーザーさんの目として働けることが幸せだと思いました。
 しかし、ベルナのように、最後のときまで、ユーザーさんの元にいられる盲導犬は少ないのではないでしょうか。ベルナは、最後の力をふりしぼって、首を振り、お父さんやお母さん、幹太君へのお別れまで言えたのです。長くて太いしっぽを大きく振りながら、嬉しそうに天国へ旅立っていく姿が見えるようでした。生きているものは全て、年老いて最期を迎えます。分かってはいても、それを受け入れるのは容易ではありません。ベルナがななえさんのところへ来たときのように、電車に乗っている盲導犬を見て、「犬を電車に乗せちゃだめ」という人もいませんし、盲導犬可のステッカーのある飲食店も増えました。盲導犬が決して吠えたり、飛びついたりしない賢い犬だということを理解する人も増えましたが、決して盲導犬自身が判断して、ユーザーさんを導くのではないということを忘れてはいけません。指示を出すユーザーさんの為に、周りの人が、声をかけてあげる配慮が必要だと思います。
 目の不自由な人でも、白杖を使えば歩行も生活もできます。けれど、それでは、ななえさんの「お母さんになる夢」は叶えられませんでした。盲導犬ベルナが一緒だったからこそ、夢が実現したのです。残念なことに目の不自由な人に対し、盲導犬の数は不十分です。私はこの本で、盲導犬の重要性を学びました。それを多くの人に伝えていきたいと思います。

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