第2回「盲導犬ベルナ」読書感想文コンクール
小学校中高学年の部(3,4,5,6年生)――童話シリーズ

最優秀賞

「こんにちは!盲導犬ベルナ」を読んで

東京都千代田区麹町小学校 六年 岡部憲和


 目の見えないななえさんには、夢がありました。お母さんになることです。でも、子育てをする上で、目の見えないことが不安をあおりました。そして、子どもの頃のこわかった記憶をさえぎりながら、盲導犬との生活を選びました。僕は、ここまでの話を一気に読みました。ななえさんの強さにうたれたし、僕は、ななえさんの魅力にひかれたからです。
 しかし、その後は、どうしても読む速度がにぶりました。ななえさんが、自宅の近くの駅で、改札口を出ようとした時、駅員さんに「犬は乗せてはいけない。」と言われてしまいます。バスに乗る時も、きっ茶店に入る時も、役所に行く時も、「犬は入れてはいけないんです。道につないで下さい。」と言われてしまいます。その度にななえさんは、「この犬は盲導犬なんです。私の目のかわりなんです。」と言って説得します。でも、それでもだめという所が、何か所もありました。その度にななえさんは、あきらめずに、たくさんの人に話しました。時にはきっ茶店に来ていたお客さんのように、よくわかる人もいて助けられましたが、なかなか納得されませんでした。僕は、その度に、目の見えない人と見える人の違いは何か、それをつぶさに見せつけられた気がします。
 そして、僕は、その度におかしいなと思いました。目が見えないことだけでも不安なななえさんの目のかわりになっている盲導犬をなぜ受け入れられないんだろう。盲導犬について知ればよいのではないかと思いました。人に害を与えるどころか、人の命を守る存在です。それをみんなが受け入れなかったら、どんなに目の不自由な人が不安な気持ちになるのか、考えるべきだと思いました。
 僕は、この物語を三回読みました。そして、何度も悲しくなりました。こうも、社会は目の見えない人に酷なのでしょうか。こうも無知なのでしょうか。しかも、無知なのに、自分の誤った考えをおしつけられるものなのでしょうか。僕は、苦しくてつらくて、ただ、ななえさんの強さとやさしさ、いえ、人の大きさに助けられながら、読み抜くことができた気がします。
 僕は、人間も犬も、いろいろな人がいていいと思います。みんな個性があっていいと思います。ただよくないのは、弱さが見えない人です。自分だけよければいいとか、困っている人間が悪いというように考えるような、そんな人は認められません。どんなに自信があっても、かしこくても、完ぺきな人間がどこにいるでしょうか。みんな、何か欠点や弱さを持っているから人間だと思うのです。それを認め合える人間、そんな人間に僕はなりたいと、この話を読んでしみじみ思いました。僕は、しょう来、絶対にこんな人間になります。



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