「いぬのきもち」2003年2月号

犬のために何ができるのだろうか?

第5回マルコ・ブルーノ


 オーストリア出身で「マルコの東方犬聞録」の著者マルコさんが捨て犬を救うボランティア活動を始めて20年。
“荒川河川敷の多数の捨て犬”“山梨の犬捨て山”など悲惨な光景を目の当たりにしてきたマルコさんが、その体験を語ってます。


「荒川の近くだったので、河川敷や土手を散歩がてら歩くわけです。そうするとね、いっぱいいたんです。道に栄養失調の犬が倒れていたり、ひどいときには死体も転がっていた。道を歩いていても、家の軒先につながれっぱなしでもう何年も散歩に連れて行ってもらえないような犬もいた」
「最初はつながれっぱなしの犬を勝手に散歩に連れていったんです。周りの人たちは『かみつくから危ない』と止めたんですけど、ボクは逆だと思った。散歩にも連れて行かずに、つなぎっぱなしで飼っているからかみつくようになったんだ、ってね」
「行政を動かすには、団体とかマスコミ、それから政治家の力が必要でした。だから区議会の議員と話をしたり、マスコミに話をもっていったりするのと平行して、“動物愛護支援の会”を作ったんです。話を進めるにも、個人だと限界がありますね」
「今はね、蛇口の水を出しっぱなしで床を拭いているようなものですよ」
「犬を飼うことに対して無責任だから、簡単に捨ててしまうんです。だからいくら捨て犬を保護してもらちがあかない。たとえば、犬を一頭飼うごとに課税するとかしないと、責任感が出てこない。それに1年に何十万頭もの犬が殺されている現状は、すぐ改善できるわけじゃありません。今行動しても、その結果が出るのは10年後かもしれない。でもね、後回しにしていたら、いつまでたっても変わらないんですよ」

ベネッセ刊「いぬのきもち」2003年2月号より(定期購読専門の直販商品で書店では購入できません)

動物愛護支援の会

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