特攻 最後のインタビュー

「特攻 最後のインタビュー」制作委員会 著 2013.12.21 発行
ISBN 978-4-89295-969-1 C0011 A5並製 384ページ 定価 2310円(本体 2100円)


多くの“神話”を生み、多くの“誤解”を生んだ、特攻。
だが、その真実の姿は、当事者にしかわからない。
戦後を生き抜き、日本の“いま”を見つめてきた彼らが、
私達日本人のために語った、最後のメッセージ――


「はじめに」より

特攻 最後のインタビュー

本書は、大東亜戦争末期、絶望的な戦況の中で行われた「特攻」という体当たり攻撃に志願し、無念にもそれぞれの理由で生き残ることになった8人の元特攻隊員の証言集『特攻 最後の証言』(アスペクト刊・現在文春文庫収録)の続編です。

今回のインタビューは2009年6月28日から2010年6月5日にかけて、11人の方々に証言をお願いしました。後世に特攻の真実を伝えるためのアーカイブ制作へ向けて、様々な分野で活躍中の有志たちによる、【特攻ライブラリー取材班】を新たに結成、前著でインタビューをお願いした方も3人含まれています。今回は優れた戦争ドキュメンタリー映画の監督で知られる長尾栄治氏がインタビュアーとして取材班に参加し、新たな切り口での証言となりました。

インタビューは、特攻に使用された11種の兵器別に行ないました。「四式重爆撃機『飛龍』」「百式重爆撃機『呑龍』」「マルレ(四式肉迫攻撃艇)」「九七式艦上攻撃機」「九七式戦闘機」「伏龍」「零式艦上戦闘機」「九六式陸上攻撃機」「一式陸上攻撃機」「四式戦闘機『疾風』」「九三式中間練習機」です。

当時これらの兵器に搭乗出来たのは、志あれば誰でもというわけではありませんでした。幾多の選抜試験や訓練によって選び抜かれた10代の兵士たちでした。努力によって高められた知性を持ち、磨き上げられた肉体がなければ、当時巨額の国費を投じ日本最高の技術を注ぎ込んだ、これらの兵器を操縦することは出来なかったのです。

インタビュー対象となったのは、80歳を超える御高齢の旧軍人の方ばかりでした。それにも関わらず年齢を感じさせない強い意志を感じたのは、かつて磨き上げられた肉体と高められた知性のせいかもしれません。外見的に肉体は老いたとしても、その精神に老いは全く感じませんでした。

特攻ライブラリー取材班は、戦争マニアでも特攻マニアでもありません。「特攻」という、国あるいは愛する人々を守るために己の命を捧げる行為に対して、言葉にならない何かを感じ、当時そこで一体なにが起きていたのかを知りたい一心で取材に臨みました。インタビューは毎回驚きの連続でした。事前に資料を読むのと実際に話を聞くのとでは大違いであることを知りました。

インタビュー内容は証言者による度重なるチェックのうえ、出来るだけ手を加えぬようにしましたが、今回は取材を引き受けて下さった方々の人数も多く、長時間にわたる内容だったため、全てを書籍に収録するには限界があり、割愛した部分や後日の聞き取り調査のなかで追加した証言もあります。

もちろん決してこれらの証言が、特攻のすべてを語っているわけではありません。しかし、取材した元特攻隊員の真実を直球で伝えるには、取材する側の結論ありきの思い入れや過剰な表現を避けた、この方法しかないと確信しています。


『特攻 最後のインタビュー』制作委員会


目次


陸軍航空特攻インタビュー 2009.06.28.
前村 弘 陸軍第三〇戦闘飛行集団・飛行第六二戦隊
四式重爆撃機「飛龍」


陸軍航空特攻インタビュー 2009.07.04.
中村 真 軍第五飛行団・飛行第九五戦隊・陸軍特別攻撃隊菊水隊
百式重爆撃機「呑龍」


陸軍水上特攻インタビュー 2009.08.09.
皆本 義博 陸軍海上挺進第三戦隊第三中隊
マルレ(四式連絡艇/四式肉迫攻撃艇)


海軍神風特攻インタビュー 2009.08.22.
江名 武彦 百里原海軍航空隊・神風特別攻撃隊第三正気隊
九七式陸上攻撃機


陸軍航空特攻インタビュー 2009.08.29.
久貫 兼資 陸軍第八飛行師団・と号四一飛行隊扶揺隊
九七式戦闘機


海軍水中特攻インタビュー 2009.09.26.
海老澤 喜佐雄 海軍第七一嵐突撃隊・伏龍特攻隊
人間機雷「伏龍」


海軍神風特攻インタビュー 2009.11.28.
野口 剛 第七二一海軍航空隊・第一神風桜花特別攻撃隊神雷部隊
零式艦上戦闘機


海軍神風特攻インタビュー 2010.01.09.
田中三郎+岡本鐵郎
松島海軍航空隊・第五次特別攻撃隊 九六式陸上攻撃機
松島海軍航空隊・第四次特別攻撃隊 一式陸上攻撃機


陸軍航空特攻インタビュー 2010.04.10.
堀山 久生 陸軍第三〇戦闘飛行集団・と号第一九四飛行隊振武隊
四式戦闘機「疾風」


海軍神風特攻インタビュー 2010.06.05.
粕井 貫次 国分海軍航空隊・神風特別攻撃隊乾龍隊
九三式中間練習機




堀山 久生(ほりやま ひさお)陸軍中尉
自国の危急存亡に際し、身を捨てて立ち向かう犠牲的愛国心を持って欲しい


久貫 兼資(くぬき けんじ)陸軍軍曹
特攻に嫌々行かされたなんて言われるのが、一番気に入らない


野口 剛(のぐち つよし)海軍上等飛行兵曹
特攻で死んでいった若者達がいたことを覚えておいてほしい


皆本 義博(みなもと よしひろ)陸軍中尉
日本の先生方も、命を賭けて国を守るという行為を善意で解釈してほしい


江名 武彦(えな たけひこ)海軍少尉
この国が滅びようとする時、我々は柩となる機に乗るという考えを共有した


粕井 貫次(かすい かんじ)海軍中尉
特攻は日本人の純粋な気持ちの表れだったことを伝えてゆきたい


 

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