梁 葉津子(りょう はつこ)

 

昭和18(1943)年、朝鮮半島出身の両親の下、大阪市に生まれる。2歳の時に大阪大空襲で家族は焼け出されて石川県に疎開、そのまま定住し、16歳で地元紡績工場に就職。
17歳の頃から父親あてに朝鮮総連関係者の訪問が始まる。熱心な説得に応じて北朝鮮への「帰国」を決心した父親に違和感を感じながらも、父親への同情心と両親との別れがたい気持ちから共に北朝鮮へ行くことになり、昭和35(1960)年、両親の生地ではなく自分の出身地でもない「祖国」北朝鮮に「帰国」する。
言葉も習慣も日本とまるで違う生活、同じ帰国者でも働かない夫、ないないづくしの育児……それらを通じ、北朝鮮では「強くなければ生きていけない」ことを自覚。改革開放で活気付く中国人を目の当たりにし、金正日体制下の「苦難の行軍」で食糧配給が途絶えるに及んで脱北を決意する。1度は失敗して強制送還されるものの、2度目に成功、現在は日本に定住している。

(※書籍刊行時の情報です)




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