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■　ハート出版の児童書　■

りそうのくに

ドコナンダ国ってどこやねん！？
新しく来た王様と古くからいる大臣たちの
大まじめな国づくりと、おかしげな人づくり

「ダメだ、ダメだ。この国は古すぎる」
「変わらないというのはゼロですらないぞ、進歩がないのはマイナスだ」
王様の望みに大臣たちはてんてこまい。
命令通りに古い伝統や物は次々破壊されていき、立派な建物が建ちます。すると…。

「王様、この国はとても立派になりました。
しかし王様が古くさいとおっしゃるこのドコナンダ国が私は好きだったのです」
作者は、大臣の口を通し、まっすぐに自分の考えを語ります。若者の潔さを感じます。
また、多くの伏線が複雑に絡み合っている緻密な構成が、読者を引きつけて飽きさせません。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　ベストセラー童話『とべないホタル』作者　小沢昭巳氏

平井美里　作　ふるやたかし　画　2008.06.16　発行　　

ISBN 9784892955891 C8093　64頁・定価 968円（本体 880円）

古くても自分たちの文化を大事にしている「ドコナンダ国」の王様が亡くなりました。
便利で刺激的な「アコカイナ国」に住んでいた王様の弟の息子が、ドコナンダ国の新しい王様に選ばれました。

新国王は、時代遅れの古くさい国をもっと立派な国に作り替えようと、次から次へと、大臣たちに命令を出します。
「古い城を壊して、立派な城を建てろ。古い物なんて全部なくしてしまえ」
「毎週木曜日、民を広場に集めて祭りをしよう。広場を作れ」
大臣の多数決で決めていたルールが、王様の意志のみで決められていきました。大臣たちは自分のことで手一杯で、他人のことを考える余裕などありません。

伝統保護大臣は、伝統作成大臣と名を改められ、古い本を全部燃やしてしまいました。
伝統作成大臣は、文句を言った文化大臣に、「命令だからやっただけだ。文句があるなら王様に言え」と開き直り、文部大臣が王様の悪口を言っている、と王様に告げ口しました。
伝統作成大臣は、部下を連れて、古い塔、古い教会、古い家をどんどん壊してゆきました。「なんてひどいことをするんだ」「昔からある伝統ある建物なのに」「大切な場所なんだ」と、どこへ行っても文句を言われました。

王様の望んだとおり、この国は変わりましたが、王様はちっとも幸せそうではありませんでした。
「どうして、誰もわしにありがとうと言ってはくれんのだ」

民のために、新しくて立派なものを建ててやったではないか、と王様は言います。しかし、古い建物を壊されて恨んでいる民もいました。何がいいかなんて、人によって違います。王様は、自分の理想を押しつけただけで、民が何を望んでいるかなんて知ろうともしなかったのです。

大臣が次々王様にそっぽを向いていき、結局王様は……。

第１回ほたる賞受賞作　翔べ！心のホタル

第２回ほたる賞受賞作　あの人に伝えたいこと

第３回ほたる賞受賞作　私のいじめが消えた日

第４回ほたる賞受賞作　こうぼ　とべないホタル

第５回ほたる賞受賞作　ゴムの手の転校生

第６回ほたる賞受賞作　ぼくはゆうれい

第７回ほたる賞受賞作　星をまく人

第８回ほたる賞受賞作　チビちゃんの桜

第９回ほたる賞受賞作　おかあさんのパジャマ

第10回ほたる賞受賞作　いのちはどこに入ってるの？

第11回ほたる賞受賞作　メル友からのメッセージ

第12回ほたる賞受賞作　りそうのくに

第13回ほたる賞受賞作　となりのトンコやん

第１回ほたる賞応募作　いじめを考える作文集

■　平井美里（ひらい　みさと）■

1979年京都府生まれ。京都府立大学文学部卒業。小学2年の頃から伊達政宗に心酔。趣味は旅と名建築めぐり、絵画鑑賞など。特に建物は重厚なつくりのものや塔、画家はポール・ドラロッシュとティツィアーノ、作曲家はスメタナ、アーティストはiMAGINATIONS、スポーツはフィギュアスケートが好き。現在、中学校教師。

■　画家　ふるやたかし■

1975年茨城県生まれ、東京都在住。セツ・モードセミナー卒業後、フリーランスのイラストレーターとして広告、書籍、雑貨等を中心に活躍中。