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■ 図解シリーズ 


図解 前立腺がんは怖くない!


血液検査だけでがんがわかる「PSA検査」で早期発見を!
アメリカでは患者数ナンバーワンの男性がん
日本でも患者が急増中!
50歳以上の日本人男性の80人に1人が前立腺がん!


苫小牧泌尿器科クリニック院長 林 謙治 著  2004.01.21 発行  

ISBN 4-89295-469-1 C2077 四六並製・144頁・定価 1430円(本体 1300円)

 

はじめに

図解・前立腺がんは怖くない!

 2003年1月に、天皇陛下が前立腺がんの摘出手術を受けられました。このニュースは前立腺がんの存在を国民に知らしめ、熟年男性の危機感を高めることになりました。
 前立腺がんは、アメリカでは男性がんで最も多く、死亡率でも肺がんに次いで第2位と社会問題になっています。
 前立腺がんは「21世紀のがん」と言われています。日本でも食生活の欧米化や人口の高齢化により、急激に増加しています。北海道で行われた50歳以上の前立腺検診(札幌医大泌尿器科)では、80人に1人の割合で前立腺がんが見つかりました。この結果から、潜在的な前立腺がんはかなり多いのではないかと予想されます。
 しかし、「前立腺がん=死」ではありません。前立腺がんは、早期に発見すれば、100%近く完治が期待できるので、決して怖いがんではないと言えます。
 前立腺がんの初期は自覚症状がほとんどありません。ですので、なかなか自分では発見できないのですが、前立腺がんの早期発見と診断に最も役立つのが、前立腺で作られるPSA(前立腺特異抗原)の血中濃度を調べる検査です。
 このPSA検査が、前立腺がん早期発見の有用な検査として注目されており、本書でもページを割いています。現在では、このPSA検査を受けることが、早期発見・早期治療のための最短コースと言えるでしょう。
 さらに本書では、順次、前立腺がんの病気の特徴や検査法、最新の治療法、さらに前立腺がん検診などについて、マンガやイラストを用いてできるだけわかりやすく、解説しました。まずは興味のあるページからめくって読んでください。
 「おしっこの出が悪い、近い」などの症状が少しでも感じられたら、前立腺がんだけでなく、前立腺肥大症や前立腺炎なども疑われます。50歳を過ぎたら、前立腺検診やPSA検査を受けましょう。
 前立腺の病気が気になる熟年男性だけでなく、そのご家族の方もぜひご一読され、この本が健やかで快適な人生のお役に立てれば幸いです。

 

目 次

はじめに

 

 第1章 前立腺がんが増えている!

 

1 前立腺検診で80人に1人が前立腺がん!
2 なぜ、日本人の前立腺がんが増えているの?
3 前立腺ってどんな器官?
4 オシッコが出ないときは前立腺の病気を疑え!
5 前立腺がんってどんながん?
6 前立腺がんと前立腺肥大症の違い
7 前立腺がんの初期は無症状!
8 前立腺がんとセックスの関係
9 前立腺がんと男性ホルモンの関係
10 前立腺がんとタバコの関係
11 前立腺がんは遺伝するの?
12 前立腺がんの予防法は?

 

 第2章 早めの検査で早期発見!

 

1 前立腺がんはどうやって診断するの?
2 前立腺がんを早期発見!――PSA検査
3 PSA検査の精度がさらにアップ!
4 触ればわかる!――触診
5 前立腺の組織がくっきり!――エコー検査
6 前立腺の組織検査――前立腺生検
7 前立腺がんとわかったあとの検査
8 早期発見、早期治療が大切!

 

 第3章 前立腺がん治療最前線

 

1 前立腺がんの組織学的分類
2 増殖様式で分類するグリソンスコア
3 前立腺がんの病気の進行度(重症度)
4 分類法の国際共通語――TNM病期分類
5 前立腺がんの治療はこうやって決まる
6 「早期がん」は外科的手術――前立腺全摘出手術
7 前立腺全摘出手術の後遺症は?
8 一番新しい外科的手術!――腹腔鏡手術
9 今後期待される手術法――HIFU
10 「進行がん」には内分泌(ホルモン)療法
11 内分泌療法の治療あれこれ
12 高齢者でもOK!――放射線治療
13 最新の放射線治療――小線源療法
14 前立腺がんの化学療法――抗がん剤治療

 

 第4章 前立腺がんよもやま話

 

1 天皇陛下が前立腺がんの手術を!
2 岐阜県梶原拓知事の英断
3 「三波春夫PSAネットワーク」

 

 第5章 前立腺がん治療体験記と症例報告

 

1 早期前立腺がん――前立腺全摘出手術
2 早期前立腺がん――放射線治療
3 転移前立腺がん――内分泌療法

 

 第6章 前立腺がん検診を受けましょう

 

1 前立腺がん検診の実状
2 前立腺がん検診・ドックでの検査とは?
3 前立腺がん検診は早期発見に役立つ!
4 全国的にも珍しい「前立腺・泌尿器ドック」

 

 

おわりに

 

本文イラスト/飯塚幸作

 

 

おわりに

 高齢化社会の到来とともに、前立腺肥大症や前立腺がんなどの病気の増加が報告されています。それと同時に、泌尿器科の医療技術や治療法も、最近10年間で格段の進歩を遂げつつあります。
 例えばPSA検査は、前立腺がんの早期発見のためのスクリーニング検査として1992年頃より普及し、それに伴い、早期がんの発見率が上昇してきています。さらに、早期の前立腺がんに対する治療法も、放射線治療の技術が進歩して、前立腺全摘出手術とほぼ同等の治療効果となりつつあります。
 前立腺がん患者が多いアメリカでは、高齢者が男女の「性」を大切にするため、勃起障害(ED)の副作用が少ない放射線治療、特に小線源療法を受ける患者さんが増えているそうです。
 いま、日本では前立腺がんが増加傾向にあります。しかし、前立腺がんは早期発見・早期治療すれば完治しやすいがんです。そして、予防しやすいがんだとも言えます。
 私は、前立腺がんの予防に対する意識が高まり、前立腺がん検診やPSA検査がさらに普及することを願っています。この本が、わずかでもそのお役に立てれば幸いです。
 最後は、このスローガンで締めくくらせていただきます。
 「50歳を過ぎた熟年男性は、年に1回PSA検査を受けましょう」。

 

読者の声

 

参考文献

「前立腺癌取扱い規約(第3版)」日本泌尿器科学会・日本病理学会編(金原出版) 2001
「前立腺がん診療マニュアル」前立腺研究財団編(金原出版) 1995
「前立腺検診マニュアル」前立腺研究財団編(金原出版) 1993
「前立腺癌の治療―最近の進歩 特に内分泌療法について―」塚本泰司、舛森直哉ら(日本医事新報) 1995
「前立腺がん検診の実状」伊藤直樹(臨床看護) 2003
「群馬県における前立腺集団検診形態の変遷」伊藤一人ら(泌尿器外科) 2000
「前立腺がん、重症になるまえに」舛森直哉、塚本泰司(メディカル&テストジャーナル) 2002
「Mass Screening For Prostate Caricinoma ; A Study in Hokkaido,Japan」Taiji Tsukamoto et al(Eur Urol) 1995
「長期・大量喫煙の中高男性で悪性度の高い前立腺癌リスク倍増」(メディカルトリビュート10月号)2003
「早期前立腺癌モノグラフ」大堀理、ピータ・T・スカルディーノ(ベクトル・コア社) 2003
「日本のがん死亡の将来予測 がん統計白書―羅患/死亡/予後」黒石哲生ほか(篠原書店) 1999
「がん発生における環境と遺伝要因―スウェーデン・デンマーク・フィンランドの双子での分析」ポールリッティンスタインら(N Engl J Med) 2000
「Effectiveness of mass Screening for the Prognosis of Prostate cancer Patients in Japanese Communities」Yutaka Kubota et al(The Prostate 50) 2002

 

著者紹介

 著者 林 謙治(はやし けんじ) 

 

1958年釧路市生まれ。札幌医科大学卒業後、同大泌尿器科学講座入局。札幌医科大学助手、北見赤十字病院泌尿器科医長、苫小牧王子総合病院泌尿器科医長を経て、1995年苫小牧市に「苫小牧泌尿器科クリニック」を開業。1999年人工透析室を併設し、現在に至る。主な著書に『人に聞けない前立腺・泌尿器の問題と解決』『人に聞けない性感染症の問題と解決』『前立腺がんは怖くない!』 (ハート出版)などがある。
医学博士、泌尿器科専門医、指導医。日本泌尿器科学会評議員、日本透析医学会会員、日本性感染症学会会員、日本感染症学会会員。

 

著者ホームページ…“苫小牧泌尿器科クリニック”
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