国を守る覚悟

予備自衛官が語る 自衛隊と国防の真実

木本 あきら 著 2021.04.29 発行
ISBN 978-4-8024-0116-6 C0031 四六並製 240ページ 定価 1540円(本体 1400円)

著者は予備自衛官として長年、訓練を続けながら企業戦士として25年間、
世界の危険地帯を見てきた。リビアでは無実の罪で投獄され、カダフィ大佐に
謁見、アルジェリアでは過激派のテロを間一髪で回避。湾岸戦争の際には、
ひそかに戦地に乗り込もうとして、 予備役をクビになりかけた行動派だから
こそ分かる、この日本という国の素晴らしさ、そして、祖国の危機──

「はじめに」より

国を守る覚悟 予備自衛官が語る 自衛隊と国防の真実

もし現役の自衛官が、防衛機密を守る「スパイ防止法」を持たない日本は大問題だと、実名で新聞に発言したとしたら、たぶんその自衛官は処罰されるはずです。日本の防衛体制とはそんなもので、自衛官は委縮して、殻の中で、与えられた任務に励んでいるのです。
災害派遣で自衛官は、心身の限界をかけて救助活動をしているのに、「平和憲法を守れ」「軍靴の音は聞きたくない」「スパイ防止法反対」と言う人たちやマスコミや政治家がいることに虚しさを覚えながら、耐えているのです。
さらに、日本人が八〇〇人以上も北朝鮮の工作員に拉致されて半世紀近くたつのに、いまだ救出もせず、法整備もできていないことに、いらだちを覚える自衛官も多いはず。
現役の自衛官の発言は厳しく規制されていますので、民間人である予備自衛官の仲間の協力を得て、国を思う気持ちをこの本の中にぶつけてみました。日本は清らかで美しい国。この国を命をかけて守りたいと思っております。自衛官だけでなく、国を愛する日本人の多くが、自虐史観を捨てて、日本人としての誇りと自信を取りもどしていただきたいとの思いで、この本を上梓しました。
なお、これを書いた私は、幹部自衛官ではなく、防衛の専門家でもありません。第三陸曹教育隊(二九期)を卒業した、単なる下士官、陸曹(軍曹)であります。自衛隊を退職後は、約二五年間、世界の二〇カ国でプラント建設エンジニアとして仕事をし、毎年、予備自衛官の訓練に参加するために海外から一時帰国しておりました。世界の混乱や政変、戦争を見てきましたし、何度も危険な目に遭いました。北アフリカのリビアでは刑務所生活も体験しました。だからこそ、危機感の薄い、のんべんだらりとした日本には、あきれ果てております。今のままではいけません。
このままでは、愛する祖国が内部から腐敗して自ら滅亡するか、外国から占領されて、悲惨な奴隷の道を歩むようになるのではと恐れております。武士道と正義を誇り、世界から尊敬される、美しい日本が地球に残ってほしい。そんな思いから、この本を書きました。
この本は、初めての予備自衛官による国防論です。





目次

はじめに
1 平和を守るためには犠牲が伴う
2 予備自衛官制度って何?
3 日本に恋する予備自衛官
4 ピース・ニーズ・フォース
5 スイスの国防はすごいぞ
6 国を守るという素晴らしい使命
7 東日本大震災で活躍した自衛隊
8 災害派遣:世界一精強な自衛隊
9 ある予備自衛官の結婚式で
10 今も続く悔しい思い
11 湾岸戦争の苦い思い出
12 憲法守って国滅ぶ
13 皇室を持つ日本を愛す
14 拉致被害者の救出に自衛隊を使え
15 ロシアに盗まれたままの北方領土
16 自虐史観にサヨナラを
17 韓国人に教えたい本当の歴史
18 日本の聖地 國神社
19 ここがヘンだよ自衛隊
20 三島由紀夫と自衛隊
21 予備自衛官の声
戦後体制からの脱却を目指せ──荒木和博
拉致被害者の奪還に予備役の活躍を期待──吉田 靖
予備自衛官運用を再検討せよ──西村日加留
わが命、国に捧げん──奥 茂治
拉致被害者救出に日本の武威、自衛隊の活用を──葛城奈海
安全保障体制・その背景と現実──香取直紀
地域の消防団として、毎日が闘い──長谷川洋昭
大和魂が自衛官の誇り──高沢一基
ゆるぎない日本への愛──佐々木英夫
おわりに
参考文献

「おわりに」より

下士官(伍長、軍曹、曹長)は、兵を率いて真っ先に敵陣に飛び込んでいく使命を与えられています。「死」はいつも身近にあり、恐怖を勇気に変えて行動しなければなりません。危険から逃げることは許されず、場合によっては、使命を完遂するために、自らの肉体を犠牲にすることも覚悟していました。
この気持ちは、自衛官を辞めてからも役に立ちました。世界中どこへ行っても、「武士道の日本人」としての誇りを持ち続けているおかげで、友人がたくさんでき、少しくらいの危険には、ビクビクしなくなりました。個人的に、特に素晴らしいと思う仲間は、アラブ人、トルコ人、インド人、台湾人、インドネシア人などです。彼らと一緒に仕事をすると、だいたい、うまくいきました。
「死」を恐れずに正しい行動を覚悟すると、心が明澄になり、他人からバカにされることはなくなります。自衛官として、国民やマスコミから色眼鏡で見られ、堂々と制服を着て歩けないような状況に遭遇しても、恨んだり腹を立てたりすることがなくなりました。
こうして、国のためなら喜んでこの身を捧げる、という覚悟を持ちながら、偽善と言える堕情に満ちた平和の中に生き続けて年を取り、戦うことを体験することなく、人生の終盤に来てしまいました。死にぞこないの哀れな老人となった自分ですが、青年時代と変わらぬ、国を愛する燃えるような気持ちだけは持ち続けております。
退職した高級自衛隊幹部が出版した著書や論文を読むと、とても勉強になりますが、下級の一般隊員からの著書は、ほとんどありません。それなら俺が、という気持ちで、遺書のつもりで書いたのが、この本です。とりとめのない文章ですが、一般の自衛官(下士官)がどんな考えを持っているか、少しは分かっていただけたのではないかと思っております。
この世の中で、最も美しいことは、自分を捨ててでも他人を助けることです。他人の幸せを見ると、自分も幸せな気持ちになります。この気持ちを心に秘めて、残りの人生を、国を愛しながら過ごしたいと思っております。





 

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