精神的武装解除された日本

アメリカがねじ曲げた日本の歴史

青柳 武彦 著 2025.12.15 発行
ISBN 978-4-8024-0251-4 C0021 新書版 330ページ 定価 1430円(本体 1300円)

「はじめに」より抜粋

日本人を精神的武装解除するためにアメリカがねじ曲げた日本の歴史

近現代史の真相を知って日本人の誇りと魂の復活を
第二次世界大戦終了後、日本人を精神的に武装解除するために、米国は徹底的に日本の歴史をねじ曲げた。世界の歴史を見れば明らかなように、勝者は敗者の復活を阻止するために、敗者の歴史を否定することで民族の尊厳と独立を奪うのが定石だった。
例えばシナでは、『史記』、『漢書』、『元史』、『明史』、等の例に見るように、王朝が変わる毎に歴史は古代に遡って全面的に書き換えられた。従って、史書としての一貫性は完全に失われてしまっている。欧州においても同様である。唯一の例外は日本である。神武天皇即位以来の二千数百年に及ぶ歴史の中で、日本は「万世一系」の皇室を維持して独立の主権国家として世界に誇る民族文化を育んできた。

それが、米国のWGIP(戦争責任情報プログラム。全て日本が悪かったので米国が正義の鉄槌を下したというプロパガンダ)によって大幅に書き換えられて、日本人の民族性にまで悪影響を与えつつある。本書は歴史の真相を明らかにすることによって、そのような傾向を阻止しようとするものである。

歴史の真相を調べてみると、日本国民は大東亜戦争の経緯について後ろめたく思ったり、自虐史観に苛まれたりする理由は全くないことがわかる。しかし、学校の教科書にはいまだに終戦直後にGHQが押し付けたプロパガンダに基づく要綱が生きているので、そうした内容を学校で教えてもらえることはない。

自虐史観の影響
日本国民は、戦後七十余年もたった現在でも自虐史観に苛まれて委縮したままでいる。例えば、改憲問題においては日本のほとんど全部の憲法学者が改憲に反対という「金太郎あめ現象」が起きている。日本は侵略をした悪い国なのだから、二度と戦争ができないようにしたマッカーサー憲法は絶対に改正すべきではない、という結論が先ずありきなのだ。
第九条二項は国民に自殺を強要するに等しい条項だから、第十一条(国民の基本的人権の尊重)第十三条(幸福追求権)と矛盾するし、自然法の理論からいっても有効なわけがない。つまり彼らの護憲論は彼らの誤った歴史認識から来るもので、専門の法理論的考察に基づいてそうした結論を出しているわけではない。

左翼的教育体制も自虐史観の影響である。日教組と文部科学省による教科書検定方針の悪影響は、戦後七十余年を経ても是正されないで、自虐史観に取りつかれた無気力の若者をせっせと再生産している。ユネスコが南京事件や慰安婦事件を世界記憶遺産に登録する問題が起きているが、日本の文科省の方が大きな問題だ。

筆者は商社マン(伊藤忠商事)から研究職(国際大学グローコム教授)に転身した。仕事の上で経済学、経営学、財政学、法律学、情報社会論、国際政治学、更には安全保障政策論に関する近現代史の研究を幅広く行う必要があった(現在、筆者は社会科学のジェネラリストを自任している)。研究を進める中で、どうにもおかしいと思えることにしばしば遭遇した。
多くの資料にあたって研究してゆく中で、自分がこれまで受けてきた教育には多くの重大な誤りがあること、及び、そのような偏向教育がいまだに是正もされずに続いていることを知るに至った。あまりのことに愕然としたものだ。ほとんど全部の日本人は、不勉強のそしりは免れないにしても、未だにWGIPの影響下にある。日教組の左傾化教育のおかげで、日本人は近現代史の真相を知る機会を全く奪われてきているのだ。


*こちらの商品は2017年7月刊「日本人を精神的武装解除するために アメリカがねじ曲げた日本の歴史」を新書化したものです。

目次


はじめに

第一章 歴史認識とは何か?
第一節 歴史学と歴史認識
第二節 歴史認識の四視点
・第一の視点:「歴史認識は史実の評価の問題であり、史実の存否だけの問題ではない」
・第二の視点:「価値観や倫理観は時代と共に変遷する」
・第三の視点:「歴史的評価は、個人や組織の“主観的意図”ではなく、“客観的結果”が問題」
・第四の視点:「歴史認識には巨視的視点が必要」
第三節 歴史認識の多様性と相対性
・百の国があれば百通りの正義と歴史観がある
第四節 高度な政治判断と歴史認識
・政治は国益優先の未来志向が大事

第二章 侵略の歴史認識
第一節 学問的・国際的な侵略論
・国際社会による侵略の定義づけへの取り組み
・国連の「侵略の定義」づけの試み
第二節 通俗的な侵略の定義
・侵略についての一般的理解
・通俗的な侵略の定義とその除外例
・白人先進国はすべて侵略国
第三節 国際社会の正体
・日本人のコミュニケーション原理 ~謝罪の美意識
・謝罪は国際社会ではマイナス効果だけ
・国際関係は各国の国益のぶつかり合い

第三章 大東亜戦争の歴史認識
第一節 日米関係
・日米関係の歴史と未来
・日米対立の萌芽
・米国の対日戦争着手
・日米開戦
・米国の欧州参戦のきっかけとしての対日開戦
・終戦へ
・ソ連参戦とその残虐行為
・日米戦争の総括
第二節 日韓関係
・韓国は日本のお蔭で独立国でいられる
・難航した日韓基本協定
・慰安婦問題
・日韓合意
・法治国家でなくなった韓国
第三節 日中関係
・日本はシナに侵略したのか
・日中戦争の経緯

第四章 大東亜戦争の歴史的意義
第一節 大東亜戦争は侵略戦争か
・日本は共産主義の防潮堤だった
・大東亜戦争は日本の自衛戦争
第二節 アジア諸国の独立支援
・アジア諸国(除:中国)における戦争

おわりに